レイ・フロンティア株式会社 人工知能による位置情報分析

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持続可能なまちづくりは
性別、年齢、生活スタイルまで分析する
“位置情報技術”が支える

一般社団法人計量計画研究所(IBS)様にSilentLog Analyticsを提供いたしました。

データ提供

INTERVIEWクライアントインタビュー

(左)レイ・フロンティア 代表 田村建士氏
(中)計量計画研究所 主任研究員 稲原宏氏
(右)計量計画研究所 研究員 矢田部貴司氏

令和5年版国土交通白書(2023年8月発行)には「デジタル化」というテーマが大きく取り上げられている。「まちづくり」「防災」「交通」「インフラ」「デジタルプラットフォーム」「物流」という6つの分野でのデジタル化を推進するべき旨が書かれているが、今回は「まちづくり」と「交通」の分野に注目していきたい。東京オリンピック・パラリンピックがおこなわれた1964年に設立された「一般社団法人計量計画研究所」(以下、IBS)という組織をご存じだろうか。IBSは、国土交通白書で「デジタル化」が取り沙汰される約60年も前から人流データの分析などを通して、都市交通政策の立案に寄与してきた先駆的団体である。

IBSの事業内容について主任研究員・稲原宏氏は、「公共団体を中心に都市、交通、経済、環境などの分野における政策決定、計画立案に役立つ調査研究活動をしている組織で、様々な交通行動調査を基礎に都市問題・交通問題の研究分析に挑戦しています」と紹介してくれた。新規で道路を作る場合を例とするなら、「どこに道路を作れば混雑の緩和や地域経済の活性化、防災力の強化、安全性の改善など多様な視点から課題の解決につながるのか?」を考え、エビデンス(根拠)を基に国や地方公共団体に提案するのがIBSの役割である。IBSがエビデンスとするのがデータの分析結果だ。なかでも都市交通行政の政策立案においては、人流データの分析等が不可欠。現在、IBSでは様々な人流データを活用しており、レイ・フロンティアが蓄積してきた位置情報も継続的に活用されている。では、なぜレイ・フロンティアのデータを利用するに至ったのか。IBSの主任研究員・稲原宏氏と研究員・矢田部貴司氏に、利用のメリットについて伺ったところ、「他の人流データと比較してモード等の情報が入っていることなどがあり、分析が容易である」と話す。

詳細なペルソナ分析が地域住民のリアルな生活行動に光を当てる

都市政策行政では、昨今『立地適正化計画』の策定が進んでいます。「立地適正化計画は全国の各自治体が考え始めているものなのですが、将来的に人口が減っていくなかで過度に拡大しないように都市を作っていこうという計画です。」(稲原氏)

「立地適正化計画」は、コンパクトなまちづくりが要点になる。人の活動の場となる都市機能誘導区域は、歩行者交通量などのまちの賑わいに与える効果を理解した上で将来像を描くことが求められている。つまり、まちなか等の比較的狭い範囲の人流データの収集が求められるのだ。「広域であればさまざまな統計データでわかることもありますが、拠点のなかで人がどのように動いているかという細やかな情報は分析が難しかった。そこで歩行者の行動が把握可能なレイ・フロンティアのデータを活用させていただきました」と稲原氏。

レイ・フロンティアのデータは、「SilentLog Analytics」という独自位置情報プラットフォームで収集したデータがもとになっている。このシステムは位置情報から以下のことを判定・推定することができるという特徴がある。

①位置情報(座標と加速度)
②場所情報(建物の種別)
③現在時刻
④気象情報
⑤推定性別
⑥推定年齢
⑦推定生活拠点
⑧推定年収
⑨推定生活スタイル

(左)平日・歩行人数
(右)立体的な市街地の構造と平日の平均歩行人数

「SilentLog Analytics」によって、移動範囲や移動方法や経路、性別、年齢などを推定できれば、住民たちのペルソナが具体的に浮かび上がってくる。ペルソナを明確に設定することができれば、地域住民のカスタマージャーニー(対象の人物がサービスを利用するに至るまでのプロセスや道のり)を捉えることにも繋がるのだ。得られた人流データの利用方法について稲原氏は「メッシュ別トーン図を作成したり、3D都市モデルを上から重ねて加工したりして、移動経路や滞在場所を分析しています」と話す。

位置情報データを活用することで新たな気づきが得られる

各地域における平日及び休日の平均50mメッシュ別滞留・10mメッシュ別歩行人数

レイ・フロンティアのデータを利用し始めて、今までの分析では見えてこなかった部分が明らかになった。
「大宮駅を例にあげると、駅から離れたところに氷川参道という観光名所があるので、休日はそこに人が集まるのではとイメージしていました。でも、実際は氷川参道周辺に人は集まっているものの駅前には平日よりも人が集まっておらず、駅前から氷川参道までの一体的な人の流れが想像よりも少ないことに気づきました。他にも浦和駅周辺の場合、市役所と県庁が駅から離れたところにあるのですが、その二拠点を繋ぐ主要同線上に人流が多く見えるなど、新たな気づきがありました。」(稲原氏)

反面、ビッグデータの利用にあたっては目的の明確化が重要である。稲原氏は「適切な分析をおこなうために、まずは各データの特徴を把握しなくてはいけません。打ち合わせ時に関係者間で見たい情報はなにかを確認し、データの限界を共有することでスムースな検討に繋がります」と語った。
「昨今、国としては“データ駆動型のまちづくり”を強く意識しています。そのために重要なのはエビデンス。まちづくりを進めるために『どうしてそこに必要なのか』という根拠が求められるのです。」(稲原氏)
道路の建設や街の再開発は未来へ続く大事業である。今住んでいる人たちだけではなく、将来そこに暮らす人たちの生活にフィットするまちづくりをしていかなければならない。そのために必要なのは、「なぜそこに必要なのか」を客観的に説明するデータである。確実性の高い位置情報は「まちづくり」や「交通」のデジタル化のために切り離せない存在になっていのだ。

■企業概要

レイ・フロンティア株式会社

「現実と仮想をつなぐ世界一のサービスを創る」をミッションとして、2008年に事業を開始し、現在は人工知能による位置情報分析プラットフォーム事業、行動分析支援、アプリ開発、新規サービス開発、実証実験支援の提供(OEM提供も含む)も手掛けております。

■事業内容
  • 人工知能による位置情報分析プラットフォーム「SilentLog Analytics」の開発・運営
  • 自社保有するデータの統計結果・AI分析推測結果の提供
  • 行動データの収集手段(SDK)と、分析基盤一式および定期レポートの提供
  • 位置情報分析技術による既存のGPSデータの可視化と行動分析支援の提供
  • 自社アプリ(SilentLog等)を活用した行動分析および実証実験支援の提供(OEM提供も含む)
  • 行動データを活用した新規サービス・事業の開発
■お問い合わせ
  • E-mail:
  • Web:https://www.rei-frontier.jp

導入事例はこちら

PHRで進化する健康管理
『うつのみや健康ポイントアプリ』

自転車などの活動でポイントを獲得し、暮らしをより楽しく。日々の記録をデジタル化し、新しい健康管理体験を実現。

利便性向上、観光利用促進を目的とした
『さんてつアプリ』

レイ・フロンティア株式会社は、三陸鉄道株式会社様へ「さんてつアプリ」の配信を開始しました。

「防災アシスト」アプリで災害情報をリアルタイムで受信。位置情報共有と安否確認でつながりを保つ。

誰でもダウンロードし、ご利用いただけます。

移動データから住民の移動需要および
傾向を分析『なみえ I・DO アプリ』

浪江町での実証実験にてアプリサービスを提供しました。

楽しみながら健康を促進するアプリ
『CO Record&Journal』
(β版開発中)

健康に対するハードルを下げつつ、楽しみながら日々の活動に取り入れていただける行動変容型ゲーミフィケーションアプリを開発しました。

サントリー「特茶 健康チャンスNAVI」への導入

サントリー食品インターナショナル株式会社「特茶 健康チャンスNAVI」へ位置情報分析プラットフォーム「SilentLog Analytics」を提供しました。

楽しく歩いて歩数を共有するアプリ
『ASTARI』

離れて暮らす大切な人と歩数を共有してギフトやポイントをGETできたり楽しみながら歩数を共有できるアプリへSDKを導入しました。

長崎市の観光をより楽しむアプリ
『STLOCAL』

長崎市を観光で訪れるお客様に向けたアプリサービスを提供しました。

応援したい企業を応援するアプリ
『Dprime』

「データを可能性に変えよう」というブランドコンセプトのもと、日々の生活の質が向上していく世界を目指したアプリを開発しました。

指定エリア内の人流データの
利用権のご提供

都市模型にソーシャルヒートマップ®などのデジタルコンテンツをプロジェクションマッピングで表示する「サイバー都市ビューワー」での投影用に、SilentLogの人流データを提供しました。

行動データの収集・分析を用いた
産学連携
精神疾患の鑑別診断

東京大学小池研究室 小池進介准教授にリアルタイム行動データを提供しました。