技術・トレンド
人流データとは、スマートフォンの位置情報などから「いつ・どこに・どんな人が・どう動いたか」を集計・推定したデータです。来訪の増減だけでなく、来訪者の属性(推定)、時間帯ごとの滞在、移動の経路、歩き方まで見えてきます。この記事では、レイ・フロンティアがこれまでに公開してきた調査をもとに、人流データで何が分かるのかを5つの使い道に分けて紹介します。
この記事の要点
最終更新:2026年10月
目次
人流データは、人の移動や滞在を時刻と位置の組み合わせで記録し、エリアや時間帯ごとに集計したデータです。取り方によって、分かることや細かさが変わります。
レイ・フロンティアの人流データは、当社が開発・運営する位置情報記録アプリ「SilentLog」を通じて収集しています。SilentLog は、スマートフォンのGPSやセンサーで位置や移動を記録します。累計33万人以上のユーザーから得た336億件の行動データ(移動時間18億時間・移動距離39億km。2024年9月末時点)を保有しています。累計ユーザーは、SilentLogで位置情報の記録があった利用者の累計で、現在利用していない方を含みます。データは、法令および当社のプライバシーポリシーに基づいて取り扱っています。
この累計は、地域や期間を問わず集めたデータの総量です。特定の地域・期間で分析できる人数はこれより少なくなるため、ご相談の際に対象ごとに確認します。
当社がこれまでに公開した調査から、人流データで分かることを5つに分けて紹介します。それぞれ「知りたいこと」「分析で分かったこと」「判断にどう使えるか(活用の例)」「この結果だけでは言えないこと」の順に書いています。数字は当社の分析対象(SilentLogの利用者)の範囲のものです。
知りたいこと:新しい施設やイベントで、来訪はどれだけ変わったか。
東京ディズニーランドの新エリアが2020年9月28日にオープンした後、当社の分析対象の来園者は10月2日(金)に、調査期間(9月21日〜10月4日)で最も多くなり、前週の同じ曜日(9月25日)より約3割多くなりました(調査記事)。新しい施設やイベントの前後で、来訪がどう変わったかをつかめます。

活用の例:新店舗・新施設の開業やイベントの前後で、来訪の変化を確かめる材料になります。
この結果だけでは言えないこと:期間中に最も多かった日が分かっても、そのうちどれだけが開業による増加かまでは分かりません。天候や曜日、ほかの催しなどの影響は別に確かめる必要があります。
知りたいこと:どんな人が、どこから来ているか。
2024年10〜11月に業務スーパー上野広小路店を訪れた当社の分析対象では、推定年代は50代、推定年収は500万円台が最も多くなりました(調査記事)。来訪者がどこから来ているか(推定居住地)も分かります。

活用の例:品ぞろえや販促の対象層、集客を狙う地域を考える材料になります。
この結果だけでは言えないこと:1店舗の分析対象の結果で、チェーン全体の来店者像ではありません。年代や年収は、行動データから機械学習で推定した値で、本人の申告値ではありません。
知りたいこと:いつ人が集まり、どれくらい滞在するか。
大阪・関西万博の初日(2025年4月13日)には、当社の分析対象で、10時から14時に会場内の密度が最も高くなりました(調査記事)。どの時間帯に人が集まり、どれくらい滞在するかが分かります。

活用の例:案内やスタッフの配置、混雑への対策を考える材料になります。
この結果だけでは言えないこと:会場全体の入場者数そのものではありません。分析対象の人がどの時間帯に多かったかを示すものです。
知りたいこと:人はどこからどこへ、どの順で動いているか。
2024年2月の午後の移動を調べた調査では、「職場、または最も長く滞在した場所」から自宅までの経路で、当社の定義に当たる寄り道をした割合は10.0%でした(調査記事)。どこからどこへ、どの順で動いたかが分かります。

活用の例:帰宅の動線の途中にある店舗の集客や、販促の時間帯を考える材料になります。観光地どうしの回遊を見る場合も同じ考え方で、京都の3連休に観光客がどう移動したかを調べた調査があります。
この結果だけでは言えないこと:全曜日を対象にしており、勤務を確かめた「仕事帰り」に限った値ではありません。寄り道の条件は調査ごとの定義によります。
知りたいこと:どのくらいの速さで、どの手段で移動しているか。
東京駅前では、当社の分析対象の平均歩行速度(推定)が、2023年6月と2026年6月を同じ方法で比べると、時速5.01kmから4.71kmへ、時速0.30km下がりました(両年とも約2,000人。調査記事)。また、2024年10月の分析対象では、日常的に車に乗る人の休日の平均移動距離は、休日だけ乗る人の約2倍でした(調査記事)。歩く速さや、徒歩・車・電車といった移動手段(推定)が分かります。

活用の例:歩行者空間や回遊の計画、移動手段に合わせた案内を考える材料になります。
この結果だけでは言えないこと:速度が下がった原因までは特定していません。同じ東京駅前の比較でも、歩数が正常に記録されたデータに絞ると、低下幅は時速0.08kmと小さくなります。計測の条件の変化が影響している可能性があります。車のデータには、運転する人だけでなく同乗者も含まれる可能性があります。
目的から、近い当社の調査記事を探せます(出店・商圏/観光・回遊/イベント運営/生活・まちづくり)。表は横にスクロールできます。
| 目的 | 分かったこと(対象・時期) | 判断にどう使えるか(活用の例) | 調査時期 | 記事 |
|---|---|---|---|---|
| 出店・商圏 | 業務スーパー上野広小路店の来店者の推定年代・推定年収の分布 | 品ぞろえ・販促の対象層の検討 | 2024年10〜11月 | 記事 |
| 出店・商圏 | コストコ群馬明和倉庫店の開業後の来訪者の推定居住地(県内・県外)と周辺への訪問状況 | 県外来訪者の回遊先や、周辺施設との連携の検討 | 2023年4〜8月 | 記事 |
| 出店・商圏 | 帰宅経路での寄り道の割合と、曜日・時間帯別の寄り道先 | 帰宅動線の途中にある店舗の集客・販促の時間帯の検討 | 2024年2月 | 記事 |
| 観光・回遊 | 京都の3連休に観光客がどの観光地へ向かい、どう移動したか | 観光地どうしの回遊を促す案内の検討 | 2023年11月3〜5日 | 記事 |
| 観光・回遊 | 岩手県八幡平市の季節ごとの人の流れ | 季節に合わせた受け入れ・誘客の検討 | 2025年9月〜2026年8月 | 記事 |
| 観光・回遊 | キャンプ場7か所の滞在と利用者の属性(推定)。2024年はふもとっぱらのみ | レジャー施設の利用状況の把握 | 2023年4〜11月・2024年4〜6月 | 記事 |
| 観光・回遊 | 全国旅行支援の開始前・実施中の、東京都と他県との移動数の推移 | 観光施策の開始前・実施中の変化の把握 | 2022年1〜12月 | 記事 |
| イベント運営 | 東京ディズニーランド新エリアの開業前後の来園の変化 | 新施設の開業前後の来訪の変化の把握 | 2020年9〜10月 | 記事 |
| イベント運営 | 大阪・関西万博の初日の時間帯別の滞在と来場者の属性(推定) | 案内・スタッフ配置の時間帯の検討 | 2025年4月13日 | 記事 |
| イベント運営 | 豊洲 千客万来の開業前後の来場者の傾向 | 新施設の開業前後の来場者の変化の把握 | 2024年1〜2月 | 記事 |
| イベント運営 | コミックマーケット102の開催前日と開催中の人の動き | 大規模イベントの来場の時間帯の把握 | 2023年8月11〜13日 | 記事 |
| 生活・まちづくり | 東京駅前・大阪駅前などの推定歩行速度の3年間の変化 | 歩行者空間・回遊の計画の検討 | 2023年6月・2026年6月 | 記事 |
| 生活・まちづくり | 日常的に車に乗る人と休日だけ乗る人の乗車時間帯・休日の移動距離の違い | 移動手段に合わせた案内・サービスの検討 | 2024年10月 | 記事 |
※いずれも当社の分析対象(SilentLogの利用者)の範囲の結果です。対象の条件や定義は各記事に記載しています。人流データと生成AIを組み合わせて2026年のトレンドを予測した調査もありますが、過去のデータに基づく予測で、将来を保証するものではありません。
人流データを判断に使うときは、次の点に注意が必要です。
Q. 人流データとは何ですか。
A. スマートフォンの位置情報などから、人の移動や滞在を「いつ・どこで」の組み合わせで記録し、エリアや時間帯ごとに集計したデータです。来訪の変化、時間帯ごとの滞在、移動の経路などが分かります。
Q. どれくらいの人数のデータがありますか。
A. 当社は、位置情報記録アプリ「SilentLog」を通じて、累計33万人以上のユーザーから得た336億件の行動データ(2024年9月末時点・現在利用していない方を含む累計)を保有しています。特定の地域・期間で分析できる人数はこれより少なく、ご相談の際に確認します。人数や地域の広さが必要な分析では、通信キャリアの統計データなど他社の人流データと当社のデータを組み合わせて分析した実績もあります。当社のデータが持つ細かな移動・滞在の記録と、他社データの人数の規模を組み合わせることで、どちらか一方だけでは分からない傾向まで読み取れます。他社のデータを使う場合は、提供元との利用条件の調整が別途必要です(SilentLog Analytics MCP)。
Q. 個人が特定されることはありませんか。
A. 提供する分析結果は、統計的に処理された集計・推定値で、個人を特定する情報は提供しません。データは法令および当社のプライバシーポリシーに基づいて取り扱っています。
Q. 来訪者数は実数ですか。
A. SilentLog の利用者の記録を集計した値で、地域全体の来訪者を数えた実数ではありません。増減の傾向や、属性・時間帯の分布をつかむのに向いています。
Q. 携帯電話の基地局やWi-Fiのデータとどう違いますか。
A. 当社のデータは、当社が開発・運営するアプリ「SilentLog」で、利用者のスマートフォンのGPSやセンサーから位置や移動を記録したものです。年代や居住地などの属性は、この行動データから機械学習で推定した値です。
Q. どの地域・施設でも分析できますか。
A. 対象の地域・期間によってデータの量が異なるため、事前にデータの有無と分析できる範囲を確認します。目的・対象地域・期間をお知らせください。
Q. 分析結果はどのような形で受け取れますか。
A. データやレポートで受け取る場合は「SilentLog Data」で、データの利用許諾、条件で抽出したデータの納品(CSV等)、分析レポートの納品の3つの形があります。継続して分析する場合は「SilentLog Analytics」を使い、AIアシスタントから分析できます。
Q. 自治体でも使えますか。
A. はい。東京都内の自治体の交通関連業務で、歩行者・自転車の動線分析にご利用いただいた例があります(株式会社ライテック様)。
人流データで分かることは、目的と対象の地域・期間によって変わります。まずは、知りたいことで分析できるかをお問い合わせください。
ご相談の際は、次の内容をお知らせいただくとスムーズです。
ご相談のあとに、次の点を確認します。分析できる人数、受け取りの形と納期、小さく試せるか、結果を社内資料や公開資料に載せられるか、です。費用は、対象のエリア・期間・データ項目に合わせて個別にお見積りします。
データや分析レポートを受け取りたい場合は「SilentLog Data」、行動データを蓄積して継続的に分析する基盤を使いたい場合は「SilentLog Analytics」をご覧ください。SilentLog Analytics は、AIアシスタントから「SilentLog Analytics MCP」を通じて分析できます。SilentLog Data のページでは、交通関連業務の動線分析(株式会社ライテック様)や、都市模型への投影コンテンツ向けの人流データ提供(株式会社竹中工務店様)などの提供例を紹介しています。
目的・対象地域・期間をお知らせください
※年代・年収・居住地などの属性の「推定」は、行動データから機械学習で推定した値です(本人の申告値ではありません)。「累計」は、SilentLogで位置情報の記録があった利用者の累計で、現在利用していない方を含みます。
レイ・フロンティア株式会社は、位置情報記録アプリ「SilentLog」の開発・運営と、移動データの収集・推定技術を用いた法人向けのサービスを提供しています。保有する特許に「生成AI×位置情報による次世代地図自動生成システム(特許第7657484号)」があります。
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